Alessandro Rapiti

チリッロと夢の市場

青いマフラーと帽子をかぶった小さなはちみつ色の子ぐまは、お母さんと一緒に市場へ行くことを夢見て、遊びや冒険でいっぱいの屋台を想像します。

チリッロは、はちみつ色の毛と、ボタンのようにきらきら輝く目をした小さな子ぐまでした。
彼は森のはずれにある木の家でお母さんグマと暮らしていました。そこは、焼きたてのクッキーの香りと小鳥のさえずりに包まれた静かな場所でした。

毎朝、チリッロは早起きをしました。
温かいミルクとはちみつで朝ごはんを食べた後、お母さんを手伝って洗濯物を干したり、中庭を掃いたりしました。
時には色鉛筆でお城やドラゴン、雪に覆われた山々を描きました。
またある時は探検家ごっこをして、庭の隅々まで冒険しました。

でも、その日はいつもと違う特別な日でした。
お母さんグマは特別な笑顔を浮かべ、朝ごはんを用意しながら言いました。

「チリッロ、今日は街の市場に行くのよ!」

チリッロの目は星のように輝きました。
市場! 何度も聞いたことのある魔法のような場所。香り高い果物、色とりどりの布、そして何よりも あらゆる種類のおもちゃ が並ぶ屋台。
彼はいつも、コマの山、木の汽車、大きなテディベア、そして空を舞う凧を想像していました。

「お母さん! 木の太鼓はある? 木馬は? それから…積み木は?」
チリッロは部屋の中で飛び跳ね、じっとしていられませんでした。

「いろいろあると思うけど、覚えておいてね。市場では一緒にいて、走り回ってはいけないのよ。」

チリッロはうなずきました…少なくとも表面上は。
でも心の中では、すでに市場の屋台を駆け回り、鼻いっぱいに香りを吸い込み、どの宝物を最初に手に取ろうか夢見ていました。

朝ごはんを終えると、お母さんグマは青いマフラーとボンボン付きの帽子をチリッロにかぶせました。
チリッロはお母さんの手をぎゅっと握り、2人で街へ出発しました。小さな心臓はワクワクでどきどきしていました。

その日、太陽は高く輝き、市場への道はいつもより短く感じられました。
お母さんの手を握りながら、チリッロの頭の中は おもちゃ のことでいっぱいでした。
彼はまだ知らなかったのです。その日が、決して忘れられない大切な教訓を教えてくれることを。

チリッロと夢の市場